どうしようもなくさみしさがあふれたり、今日あった悲しいことを思い出してしまったり。泣きたくなってしまう夜はありませんか?
そんな夜にそっと寄り添ってくれる1冊が中山有香里さんの『泣きたい夜の甘味処』です。
『泣きたい夜の甘味処』とは
舞台は、とある町の一角でクマと鮭がひっそりと営んでいるお店。
そのお店は夜だけしか営業しておらず、さらにメニューはあたたかいのみものと甘いものが一品だけ。
そんなお店に訪れるのは疲れたビジネスマンや会社を辞めたOL、落ち込んだ新人など。泣きたい気持ちを抱えている人達。
そんな人達に出されるあたたかいのみものと甘いものは、お店を訪れる人の心を優しく包み込み、癒してくれます。
優しさとぬくもりにあふれた癒される1冊
書籍が発売される前から中山有香里さんのTwitterで作品を拝見しており「書籍にならないかな」とずっと待っていた作品でもあります。
1ページ1ページから優しさとぬくもりにあふれていて、優しい絵柄とお客さんにかけられる言葉に読んでいて、すごく癒されます。
「疲れていると本を読むのもしんどい」という人もいますが、優しいストーリーと絵柄、色づかいで、疲れている時でもゆったりと安心した気持ちで読むことができ、寝る前の読書にもおすすめです。
それぞれのエピソードに出てくる「甘いもの」はどれもすごくおいしそうで「明日はこれをコンビニに会に行こうかな」と前向きな気持ちになって、眠りにつくことができます。
またそれぞれのエピソードに対するAnother Storyも収録されているのですが、そちらのお話もすごくよくて「頑張りを見てくれている人やわかってくれている人はいるんだ」と勇気づけられます。
中でも「落ち込んだ新人さん」の話は「先輩はあの時こんな気持ちだったのか」とAnother Storyで気づくことができます。
大切なことを思い出させてくれる、あたたかな作品
忙しくてごはんを食べるヒマがない。おやつを食べる時間なんてない。
そんな人も多いと思いますが、この作品は「少し休んでほっとする時間」が大切なことを思い出させてくれます。
忙しさの中でどうしても最初に食べることに関する時間が削られてしまいがちですが、たまには自分のためにあたたかいのみものを入れて、甘いものや自分の好きなものをゆっくり食べる時間をとるのもいいな素敵だなと思わせてくれます。
実際に私はこの本を読んでゆっくりお茶を煎れて、甘いものを食べるようになって、ほっと一息つく時間ができたことで、自分の心に少しですが余裕ができたように感じます。
『泣きたい夜の甘味処』を読んでは「もしも自分がここに行ったらどんな甘いものが出てくるんだろう」とそんなことを考えています。
ぬくもりが感じられて癒される作品です。
ぜひあたたかいのみものと甘いものを用意して読んでみてください。